長年アメリカに住んできて、経験上、地下室のリフォームと聞いて自分の中で思い浮かべるイメージがある。薄暗い、寒い、そして、「ああ、地下室の部屋だな」と納得の、独特の無機質な雰囲気だ。
天井が低いゆえの閉鎖的な感じなのか、地下ゆえのヒンヤリと冷たい空気感なのか、外界の音が遮断されたゆえの篭った感覚なのかわからないが、とにかく地下室には地下室特有の空気が流れている。
大体、大きな窓が無いのだから仕方無いのだけれど、今回地下室をリフォームするにあたり、なるべくそうした典型的な地下室ならではの閉ざされた空気感は避けたいと思った。
早速、Pinterestで地下室のリフォーム・アイデアを探してみる。ヒットするのは、やはり、典型的な地下室のデザインが多い。
(出典: Pinterest)
階段から直ぐに広がる巨大スペース。
部屋の仕切りが無く、家具で何となくセクションを作っている。
ホームシアターを作る人達も多くて、そのためには深めのソファーに大型テレビはマストになる。
かなりのデザインに目を通したが、段々と自分達が何を求めているのかわからなくなってきて、途方に暮れる日々。
そんなある日、日本の母が遺してくれた着物を整理していた時に、ふと、和室擬きのデザインはどうだろう?と、思いついた。このアイデアには、日本大好きな夫も目を輝かせた。
そうと決まれば、リサーチするのも楽になる。
地下室という閉鎖的な空間なので、枯山水の様なものを取り入れて、外界の空気感を出すことを考えついた。
インスパイアされた画像。
大好きなサイトで、こんなウォールペーパーを見つけたので、壁に大きなミューラルの様に貼ることにする。
部屋の色味やデザインなど、アイデアを集めてキュレーションを作ってみた。
床やインテリアの木材の色がちょっとダークかな?との危惧もあるが、照明や小物の使い方で、ムードのある落ち着いた部屋になることを期待して。
トイレ用のキュレーションも作った。
小さなウェット・バーも付けるので、バー用のキュレーションも。
大体の方向性が決まったので、早速、業者のおじさんにも、キュレーションを基に、フロアーのサンプルを持ってきてもらった。
ドアーやタイルなどは、自分たちで好みのものを見つけて来なければならなくて、夫とは、地下室用なので、出来るだけ低予算で行こうと話し合っていた。
ただ一つ、私の我がままで、バーの横にある倉庫/貯蔵室に通じるバーン・ドアーだけは、ちょっとお洒落なものにすることに。
ただ、和のデザインに合うようなバーン・ドアーがなかなか無い。元々、バーン・ドアーとは、バーン(納屋)に吊る下げられた大きな木のパネル・ドアーで、カントリー・スタイルだ。あまりにも素朴というかラフな木材なので、和の繊細さとは程遠い。
どうしようかなと悩みながら、気分転換に、お気に入りのアンティーク・サイトへ。それが間違いだった。
全く和のデザインには合わない、それでも自分的には大好物なアンティークのドアーを発見してしまったのだ。
木材の色合いも全く違うし、このドアーのどこにも和の要素は無い。バーン・ドアーでも無い。おまけに、予算を大幅にオーバーしている。でも、美しいアンティークのドアーである。こうした細かなガラス枠のドアーは珍しい。そして、サイズがパーフェクトなのだ。
ということで、このドアーを購入してしまった。2500ドル。笑 あーあ。
ドアーに合わせて、フロアーや他の木材の色を変えなければ。